はじめて人を雇うときの基礎知識まとめ
人を雇うときのルール、保険や税金などの基礎知識をまとめてみた。
ちなみに厚生労働省のホームページでも従業員を雇うときのルールが公開されているが、本サイトでは要点だけを紹介する。
すべては労働条件を明示するところから始まる
人を雇うには、労働条件を明示する義務がある。明示する労働条件は以下の通り。
・いつまで働くか
・仕事をする場所
・仕事の内容
・仕事の時間や休み
・給料はいくらか
・辞めるときの決まり
労働条件は書面(雇用契約書や労働条件通知書)にして渡す必要がある。
雇用契約書は双方が合意した文書であり、労働条件通知書は会社から一方的に知らされる文書だ。
だから雇用契約書の方が法的に強く感じるが、労働条件通知書を出していないと罰金があるため、両方を書面で渡した方がよい。
なお正規社員と非正規社員(契約社員、派遣社員、パート、アルバイト)の違いは、雇用期間が決まっているかどうか。
正社員は雇用期間が決まっていないので、労働者が辞めたいと言わない限り、定年まで働き続けられる。
1.労働時間
労働時間は労働基準法で決まっている。1日8時間以内で1週間40時間以内だ。
休日は週に1回以上とることが義務として決まっている。
従って、5日間をそれぞれ7時間はたらいて、残り1日を5時間はたらく勤務形式でも法律上は問題ない。
だけど5日間を8時間勤務とし、2日間を休みにしている会社が多い。(最初の5日で週40時間となるため)
また法律上、祝日は従業員を休ませる必要ない。しかし待遇が悪ければ、求人を出しても人が集まらないだろう。
有給休暇については必須で、正規社員や非正規社員であっても取らせないとダメだ。
正社員の有休は以下の通り。
勤続年数 | 6か月 | 1年6か月 | 2年6か月 | 3年6か月 | 4年6か月 | 5年6か月 | 6年6か月以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
2.賃金
給料の支払い方法には、以下の原則がある。
・通貨払いの原則(現金で支払うこと)
・直接払いの原則(本人に支払うこと)
・全額払いの原則(全額支払うこと)
・毎月1回以上定期払いの原則(一定期間ごとに支払うこと)
例え正社員であっても、昇給や賞与(ボーナス)は義務ではない。その他、交通費などの手当を支払う必要もない。
必須となっているのは、休日手当(1.35倍)と残業手当(1.25倍)のみである。
3.税金と保険
条件によって違ってくるが、社会保険と労働保険の加入は義務だと思った方が良い。
社会保険料の半額は会社が負担する。
会社が加入する保険の種類は以下の通り。
社会保険 | 健康保険 | 私傷病になったときの医療保険 |
---|---|---|
厚生年金 | 老齢年金などの年金給付 | |
介護保険 | 40~64歳の社員が対象 | |
労働保険 | 労災保険 | 業務上・通勤途上の災害、疾病補償 |
雇用保険 | 失業手当 |
また従業員から徴収する税金には、所得税と住民税がある。
仮に毎月30万円の給料(ボーナスなし)を支払う条件で正社員を雇ったとき、次の給与計算となる。
給料 +30万円
健康保険 -2万7千円(会社が半額負担)
厚生年金 -1万5千円(会社が半額負担)
介護保険 0円(40歳未満のため)
労災保険 0円(会社が全額負担)
雇用保険 -2千円(会社が半額負担)
所得税 -7千円(社会保険額で増減)
住民税 -9千円(前年収入で増減)
------------------
手取り +24万円
一方で会社が負担する保険料は、おおよそ以下の通り。
健康保険 2万7千円(半額負担分)
厚生年金 1万5千円(半額負担分)
介護保険 0円(40歳未満のため)
労災保険 1千円(全額負担分)
雇用保険 2千円(半額負担分)
------------------
4万5千円
つまり人を雇うなら「毎月30万円の給料なのだから360万円あれば良い」というわけではない。
保険料の負担分を加えて考えると、34万5千円×12ヶ月なので、420万円ほどが必要なのだ。
年収の1.2~1.3倍のコストが掛かると思った方がいい。