ノラプログラマーの技術メモ

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アドラー式子育て術「パセージ」まとめ

パセージとは

パセージは、アドラー心理学の考え方に基づいた育児法。
二語文を使えるようになった3歳くらいからの実践を推奨している。

子どもを支配する親ではなく、子どもに媚びる親でもなく、子どもを対等な仲間とする親を目指す。そのため、子どもを褒めたり叱ったりせず、勇気づける。

子育ての目標

アドラー心理学では、行動は信念から出てくると考える。
「適切な行動」をするためには、「適切な信念」を育てる必要がある。

行動面の目標と心理(信念)面の目標はそれぞれ以下の通り。

1.私は能力があると感じるか?

  • 子どもの欠点を指摘し、失敗を叱る ⇒「私は能力がない」
  • 子どもが自分で課題を解決しようとし、親は手出ししない ⇒「私は能力がある」

2.人々は私の仲間だと感じるか?

  • 親が子どもの勇気をくじく ⇒ 親子関係が悪くなる ⇒「家族(人々)は私の敵だ」
  • 親が子どもを勇気づける ⇒ 親子関係が良くなる ⇒「家族(人々)は私の仲間だ」

不適切な行動には意味がある

パセージでは、「不適切な行動をどうやめさせるか?」と考えるのではなく「適切な行動をどう増やせるか?」と考える。

一方、子どもが不適切な行動をふるまうことには次の目的があると考える。
1.注目関心を集める
2.権力争い

子どもは不適切な行動を通じて共同体に所属しようとする。子どもの不適切な行動の中の「よかったところ」を意識的に探してみる。

褒めない育児・叱らない育児

パセージでは、賞や罰を使って外側から子どもに刺激を与える育児をしない。
子どもが社会の中ですべきことをし、すべきでないことはしないと内側から学ぶように勇気づけを行う。

罰の副作用

  • 罰する人がいないと不適切な行動を続け、適切な行動をしない
  • 親子関係が悪くなる
  • 消極的で意欲を失ったやる気のない子になる危険性がある
  • 罰は負の注目になる

賞の副作用

  • 賞を目的に行動するようになる
  • 賞がもらえないと分かると適切な行動をしない
  • 賞が次第にエスカレートする
  • 結果を重視して安易な手段をとったり、結果が悪そうだと投げ出してしまう

勇気づけ

  • 子どもの話に耳を傾け、子どもの考えや感情や意思を理解しようとする
  • 親が指示するのではなく、子どもに問いかける(問いかける育児)
  • 失敗した子どもの勇気くじきをしない

課題の分離と共同の課題

課題の分離とは、ある出来事の問題(課題)に、どう取り組み、どう解決するか、その結果が誰の身に降りかかるのかを考えて、課題分けをする(分離する)作業のこと。

例えば、子どもがどんな友達とどんな風に付き合うか、勉強にどう取り組み、どう解決するかは子どもの課題と考える。

子どもの課題に親が口を出すと次のような弊害がでる。

  • 自信を失う
  • 依存的になる
  • 反抗的になる
  • 失敗を人のせいにするようになる
  • 親が忙しくなる

ただし、次の3つの場合に関しては、子どもの課題を親子の「共同の課題」にして、親が手伝うことができる。

  1. 子どもから親に頼んできたとき
  2. 子どもの行為の結果、親や周りの人の迷惑になるとき
  3. 子どもの人生に重大な悪影響がありそうなとき(喫煙、飲酒、万引きなど)

親は一方的に子どもの課題を共同の課題にできない。目標の一致ができた時のみ共同の課題にできる。

結末を体験する

結末を体験することで、子どもは適切な行動を身につけたり、社会の中での責任を学ぶ。結末には、自然の結末と社会的結末がある。

自然の結末とは、例えば「夜更かしすると朝起きれなくなる」「勉強しないと成績が落ちる」といった自然の法則によってふりかかる結末のこと。

ただし次の4つの場合は、自然の結末に任せることができない。

  • 子どもの身に危険が及ぶ場合。例えば「道路に飛び出すと事故にあう」など。
  • 結末を体験することが勇気くじきになる場合。例えば「子どもが友達との関係で傷ついている」など。
  • 子どもに結末がかえってこない場合。例えば「夜中に大音量で音楽を聴く」など。
  • 子どもが行為と結末の関係を理解できない場合。例えば「言葉が出る前の幼い子ども」など。

社会的結末とは、例えば「食事は7時までにすます。守れない場合は食事を片づける」といった家族や学校、社会が決めたルールによってふりかかる結末のこと。

ただし罰にならないよう次の3つのポイントに留意する。

  • 親子関係がいいこと。親が感情的になってペナルティを言い渡すのは罰になってしまう。
  • 行為と結末に合理的なつながりがあること。例えば「電車で騒いだから、電車を降りなければならない」は合理的である。
  • ペナルティを全員が納得していること。急にペナルティを言い渡さず、事前にお互いが納得していること。

家族会議のすすめ

定期的に家族会議を続けることによって、子どもは責任感のある人に育ち、協力することを学ぶ。家族会議では家族が仲良く生活するためのルールを決める。

ルールを決めるときのチェックポイントは次の5つ。

  1. 全員がルールの制定に参加する
  2. 内容が合理的である
  3. 平等に適用される
  4. 条文が少ない
  5. 期限つき